不良青年勇者録

何でもさ、始まりって突然だよな？

そいつらをちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返してたら、その…、親よりも有名になっちまって……。

最近ケンカをふっかけてくるやつも減ったが、それでもああいう奴が今でもちょくちょくちょっかい出してくるんだわ。

まぁ、そういうことだから相手しなくちゃな。
体育館荒らされたくねぇし。

俺は少し憂鬱にひたりながらもパイプイスから立ち上がりモヒカンのところへ向かう。

モヒカンは俺を見つけたようで(目が合ったし)、気色悪い顔を喜色に染めた。

「ヒャッハー！野家ぁﾞあ！待ってたぜぇ！」

「うるせぇ、このチャビンモドキ。その髪引っこ抜いて波平さんヘアーにしてやんぞ？」

……あ、今の俺だぜ？

わりぃ。びっくりしたよな？
なんたって巷<ﾁﾏﾀ>では仏のケンといわれるこの俺があんなこと口にしたんだもんな。

これも、悩みの一つなんだわ。
親の遺伝だと思うんだけど(てか、そうとしか考えられない)、ケンカ腰でくるやつには反射的にタンカ切っちまうんだよ。

はぁー…。もうなんなんだろ。普通遺伝って親の優秀な部分継ぐっていうけど、これは優秀じゃねぇと思う。

いや、あちらさん方には優秀なんだろうな。はぁー…マジ勘弁。肉食系とかマジ勘弁。