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大男は立ち上がり、モヒカンを退かせる。
「羅尾さん!?で、でも!」
大男を気遣うモヒカン。
「良い。良いのだ、三湖田……。
これは我が道……。我が人生。
それを今さら悔いることはない。
何より、三湖田。うぬが我を支えてきてくれたではないか。
それのどこを悔いろというのだ?」
「羅尾さん……。うっ、オレ、っ、羅尾さんに、ついていって、良かったッス!」
「三湖田……。我も、うぬのような友を持って、本当に、…良かった。
ゆえに我は、うぬのような友に恥じぬ……漢となろう!!我が人生一片の悔いを残さぬようにまずは…、野家!貴様をほふろう!!」
己の覚悟と。
友との絆のために、闘志を燃やし、俺を指差す大男。
「「「「「羅ー尾!!羅ー尾!!羅ー尾!!羅ー尾!!」」」」」
体育館が、二人の絆により一つになった。
この俺を除いて。
だって、このままだと俺完璧やられ役じゃん。
「ウオォォオオ!!」
雄叫びと共に俺を捕らえようと、両手で掴みかかってきた大男。
「…はぁ。人の不幸を考えろってんだ。」
ため息と愚痴を一つずつつき、迫りくる大男の両手首を上から抑えるように持つ。
「何!?」
大男は俺の行動に驚くが、んなことしるか。
地を蹴り、大男の両手首の上で、一瞬、逆立ちの体勢になる。
勢いを殺さず、両踵を大男の両肩に打ち込む。
「ぐっ!?」
痛みに顔を歪めた大男の頭を両足でガッチリと固定。
手を放し、腹筋をするように体を丸める。
「ッラァ!!」
一喝いれると同時に、体を一気に反らし、床に手をつき、大男を頭から床に叩きつけた。
そう、いわゆるフランケンシュタイナーだ。
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