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「ん?俺は部屋を間違えたか?」
その夜、宴は深夜まで続き、義仲様は寝所に巴様がいるのに驚かれました。
「いいえ、間違ってはおりません。」
「そうかぁ、さては仕返しにまいったか?ハハハハ。」
義仲様は、そのまま寝具に転がりこむように横になられました。
「巴は今日よりここで休みます。」
「ん?俺の寝床を奪うきか?これは困った。ハハハハ。」
「違います、巴は義仲様の隣で休みます。」
巴様の言い方が、あまりにも怒った風でしたので、義仲様も一瞬きがつかれませんでした。しかし、
「おいおい、困ったことを。巴には巴の部屋があるではないか。」
まるで幼き赤子を諭すように、巴様の頭をなぜながら言われました。
「もう、巴の部屋はございません。今日より義仲様のおそばが巴の場所にございます。」
「巴・・・」
「巴は決めておりました。自分より強い御方に嫁ぐと・・・。」
「それはできぬ。」
「どうして?義仲様は巴のことがお嫌いか?」
巴様は、いつしか義仲様にしがみついておいででした。その目には並々ならぬ覚悟を秘めておいででした。
「嫌いではない。嫌いではないが、違う。」
「巴は義仲様のそばにいたい。いると決めました。」
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