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「ますます、早くなるのう巴は。巴に超されては情けないぞ、
兼光はまだか。」
「くやしい~。いつも義仲様は私の前を走る、勝てないのはな
ぜ。今度は馬を替えてくだされ。」
「アハハハ、この間もそういって巴は、駿馬に振り落とされて
たではないか。巴にはこの馬は相性がよくないようじゃ。あき
らたほうがよい。」
「あの日は・・・たまたまにございます。今度はおとされませ
ん。」
野駈け、速駈け、剣術、巴様には目標がございました。それが、幼き頃より一緒に育った義仲様にございました。
「そう、悔しがるな。兼光もついてこれないほどになったではないか。巴は筋がよいほうだ。」
「私は義仲様に勝ちたいのです。では、戻りましたら剣術の勝負を。」
「あははは、無理をいうな。怪我をするぞ。」
「怪我などきにはしません。」
義仲様はやはり生まれ持った血筋でありましょう。馬術におかれまして、決して巴様の勝つことのできぬ相手でございました。義仲様は決して剣だけは決して巴様とは交えようとはしませんでした。
「やっと、兼光が追いついてきたぞ。そろそろ戻るか?巴。」
「はい。」
やっと、上ってきた兼光様の横をお二人は、
「もどるぞ、兼光。館まで競争じゃ。負けた者が今日の夕餉の当番だぞ。」
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