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するとザブン、と音を立てて静かに流れる下水の上に着地した。
おかげでズボンはずぶ濡れ。
僕はやっとの思いで逃げ切れたことに安堵の溜め息をついた。
よかった……なんとか逃げられた。
そう思うと急に力が抜けてしまった。よほど緊張していたのか。
僕は下水から上がり、仕方なく少し休憩することにした。
……、さっきは本当に危なかったよ。
でも……絶対に変だ。あの辺りは安全地帯だったのに。
これからはもっと気をつけないと……僕まで死ぬわけにはいかないんだ。
僕が死んだらお姉ちゃんを守れなくなっちゃうからね。
いまはもう……お父さんもお母さんもいない。
意志をもったロボット集団、アンドロイドたちに殺されちゃったから……。
それにお父さんとお母さんだけじゃない。
もう、地球には人間がほとんど残っていない。
僕がうなだれていると、どこからか鳴き声が聞こえてきた。
「チュウチュウ」
僕はまだ暗闇になれてない目をこらす。
……あ、ネズミさんだ!
僕がうなだれて座っていたすぐ目の前、細い排水管からひょっこりと顔を覗かせている。
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