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小一時間ほど経っただろうか。
アルベルトがネズミを口にくわえて戻ってきた。
この島にきてから、彼がエサをくわえているのを見たのはこれが始めてだ。
この島には飼い猫が捕まえられるほど、たくさんのネズミがいるのか……
私は数年前、まだイングランド本土にいた当時にペストが大流行した事を思い出した。
アルベルトはネズミをくわえたまま、主人である私に目もくれず、家屋の下に潜り込んだ。
何事かと覗いてみると、そこには綺麗な白いネコと小さな命が彼の帰りを待っていた。
それならそうと言ってくれればよかったのに。
私はお祝いの気持ちを込めて、今日売れ残ったパンを一斤、子猫にも食べやすいようにちぎって与えてやった。
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