6/16
前へ
/103ページ
次へ
白い猫は洋風の 他とは異なる雰囲気をもつ 小さな家の前で止まった。 「こんな所、あったかしら?」 猫が座る玄関の横に 看板が置かれていた。 "アートギャラリー" 白い綺麗な看板に どう考えても遠くからでは 見えないような小さな文字 看板の意味など まるで無いその看板に 興味をそそられる。 ガリガリガリ 「なー」 思った通りの太い声。 「ここが猫さんのお家?」 ガリガリガリ 「なー」 そう言いながら猫は私を見る。 無駄よ。 どうせ開いてるわけ無いじゃない。 だってCLOSEDの看板がかかってる。 「なー!!」 『お前。さっさと開けろ』 そう言わんばかりの声。 「分かったわよ猫さん。でも閉まってると思うわよ?」 私は取っ手に手をかけ ゆっくりと下に下げ そしてドアを引いた。
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加