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白 汚れなき白 その世界にたった一つ 外の世界を切り抜く窓 外と中を繋ぐ窓。 潔癖の白 汚れを知らない白の世界 この部屋と 切り取る窓が成り立たせる 一瞬の美。 私は部屋の中心で 立ち尽くした。 涙が止まらない。 でも拭うことも出来ない。 たった一つの 小さな窓が切り取る 一瞬の美に 心を掴まれた。 まばたきをするたびに 違う作品へと変わる 一期一会との出会い。 生の躍動と 死の翳り 生の光と 死の闇 一瞬で輝き、 そして儚く消える。 また生まれ、そして死す。 この繰り返しが 永遠と成される部屋 絵画は永遠を 留めるものである。 この窓は一瞬の美の追求。 しかし一瞬しか 留めることが出来ない この窓は 絵画と呼ぶにふさわしい 永遠を孕んでいる。 何故だろう。 心が震えて 全身の血が騒いで 私がここにいることを 誰かに伝えるために 叫びたくなった。
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