8人が本棚に入れています
本棚に追加
「私は綾子です。はじめまして」
先に自分の名前を言って
男の人がさっき笑ったように
笑ってみた。
自然と暖かい気持ちになるのは
彼の雰囲気を
纏った気になったからだろうか。
「僕は一雪です。ここのオーナーで、自分でも絵を描いたりします」
続いて男の人が
自己紹介をしてくれた。
「絵をお描きになるんですか?」
「はい。少しでもこの窓で味わった感動を留めようと、キャンパスに色を置いてみるんです。でも、やはりどこか薄れてしまう」
「飾らないのですか?」
「うん。こんな強烈な作品の周りに、僕の小さな感動なんて飾れない」
「私、一雪さんが感じたものを見てみたい!」
「へ?」
「今度こちらへ伺った時に見せて頂けませんか?」
「そんな……!見せれるような作品ではないよ」
「でもお会いしたいんです。あなたが感じた一期一会に」
最初のコメントを投稿しよう!