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「猫さん。どちらまで行くの?」 『うるさい奴よ、ワシが何処へ行こうとワシの勝手じゃ』 「そう言わないで、私も着いていくわ」 一人頭の中で 猫と対話を楽しむ。 猫の背後に近づくが やはり猫は態度を崩さない。 むしろ先ほどよりも 背筋を伸ばし威張っている。 私を従えたかのような態度だ。 「猫さんに着いていくけど良い?」 『勝手にしろ。ワシはお前なんかに興味無いんじゃ』 「冷たいのね。私、綾子。猫さんお名前を教えて?」 『ワシに名前があるとして、お前に教えて何になると言うんじゃ』 「いいじゃない、教えてくれたって」 『お前に名乗るほど安き名前じゃ無い』 「そうね。名前なんてあってもなくても一緒ね。名前なんて無くても生きていけるわ」 そう言うと 猫はまた振り向いて 私に冷たい眼差しを投げた。 その瞳に 私は少し眉をひそめた。
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