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ずっとそれの繰り返し。
哀しい現実はループして、決して俺を離してはくれない。
……でもまあ、いいんだ。
全ては俺の責任なんだから。藍の前では「シン」として生きていくって決意したのは他の誰でもない、この俺なんだから。
こんな哀しみは予想の範疇だ。……うん。
沢山の雑念が心を渦巻く中、俺は上を見上げた。
ゆっくりと流れる雲。蒼く吸い込まれそうな空。
「……」
もし天国というものが存在するのなら、あそこにシンがいるのだろうか?
……ふっ、似合わねぇ。
にやりと笑いかける。シン、見てるか?
……なんて問い掛けながら。
――まあ、見てるわけないよな。……一人で存分に空想の世界に浸った後、俺は心の中でそう呟いた。
俺は天国やら地獄やら、不確かなものは信じないんだ。幽霊と同じで。
でもまあ、百歩譲って天国やら地獄があるとしたら、俺は確実に地獄行きだと思う。イイコトなんて、意識してやったことなんか無かったし。
本当虚しい人生だよ。自分でもそう思ってしまう。
……もし、死んだのがシンじゃなくて、俺だったら……どんなによかったのだろうか。
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