出逢い

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何もない。 誰もいない。 田んぼに畑に林に山に、自然にかこまれたこの町はあたし一人の文句なんて気にしていないようだった。 それは干渉されないってこと。 お気に入りのヒールが、土に埋まってうまく歩けないことを 除けば、いっそ清々しくもあった。 1日に3本しかないバスを待とうと、バス停に歩く。 木造と推定される小さな小屋みたいな待ち合い室があった。 壁の一つがなくて、そこはなるほどバス停らしかった。 そしてそこには ―――先約がいた。
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