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「まあでも、あいつには石頭の怖えー兄貴と糞生意気な曲者の弟まで付いて来んだからな。あの兄弟と上手くやってける男なんかそうそういねぇわ」
俺はほくそ笑みながらコーラを一口飲んだ。
あの男が遼先輩と翔と上手くやってるかは知らないが、恭平亡き今あの二人との接し方で俺の右に出る奴はいないはずだ。
「何その情報。兄弟ぐるみで知り合いなのかよ?」
「そりゃあ兄貴の方は剣道の先輩だし、弟の方は亮平の友達だし」
「じゃああの女子との関係は?」
「だから先輩の妹」
「ほんとにそれだけー?」
「そうだっつってんだろーがっ!何処に耳付いてんだよ」
俺はうんざりした溜息を吐き出してコーラをがぶ飲みし、窓の外の夕暮れ空に目をやった。
あいつらはまだうちの学校の何処かに居んのか?
廊下で客を呼び込みする係の前垣に「足を怪我した松葉杖の男が来たら速やかに知らせろ」と言っておいたが、結局さおり達は本当に来なかった。
遼先輩にあんな姿を見られなくて助かったけど、衣野 慎吾の妹は見たかったりする。
さおりイチ押しの、遼先輩を変えたっていう女を。
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