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俺は窓の下に在る遼先輩達の姿をもう一回チラッとだけ見て、棚上から床に飛び降りて田辺先輩の所へ向かった。
「何だ、もう店閉めたのか?」
「材料切れちゃったんすよ」
「えー。タピオカドリンク飲んでみたかったのにショックだなぁ」
俺が廊下に出ると、田辺先輩は教室のドアをスライドさせて閉め切る。
そして二人で廊下の窓際まで移動し、何処となく機嫌が良さ気な田辺先輩から次に出た台詞は。
「実はさ、ついさっきまで小木原と一緒に居たんだよ」
俺を嫉妬させる台詞だった。
「……は」
「あいつ今日来てるんだよ。さおりちゃんと彩……さおりちゃんの友達に連れられて」
それはさおりにバッタリ会って聞かされたし、今目撃したばっかりだ。
そんな事より俺が言いたいのは。
「なぁんでそこに俺も呼んでくれなかったんすかっ!」
「呼びたかったけど、蔵馬は店番の時間帯だっただろ?」
「知らせてくれたら抜け出しましたよ!」
「そうすると思ったから知らせなかったんだよ。仕事はサボるな」
田辺先輩は苦笑いしながら俺の額を軽く小突いた。
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