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衣野妹は田辺先輩から見ても好印象って訳か。
やり手タイプっていうより桜タイプなのか?
「顔は?可愛いんすか?」
「んー。綺麗系と可愛い系が混ざった感じかな?」
「何すかそれ?」
「んー。黙ってれば美人、喋ると可愛い。みたいな」
田辺先輩は顎に右手を当てながら言い方を模索するが、イマイチ想像が付かない。
顔は美人で性格は可愛いっていう感じか?
ていうかサバサバした可愛い性格って、サバサバと可愛いは反対じゃね?
二重人格?
「何かよく分かんないっすけど、それ俗に言う“魔性の女”とかじゃないでしょうね?」
「魔性の女?ははは。まあ、ある意味そうかもな」
俺が不信な眼差しで訊くと、田辺先輩は一瞬キョトンとした後に苦笑した。
“ある意味そう”って何だよ。
これって遼先輩も田辺先輩も衣野妹の魔術にやられちゃってんじゃねぇのか?
さおりが太鼓判を押すって事は、遼先輩を駄目男にしたりはしない女なんだろうけど……。
「田辺主将!」
頭をフル回転させて考え込むと、いけ好かない野郎の媚びた声が俺の聴覚を刺激した。
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