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田辺先輩と俺の前で足を止めたのは、各自かき氷を歩き食いしている5人の軍団。
その中心に居るのが声の主だ。
剣道部の同期、青嶌 悠。
「おお、青嶌」
田辺先輩は寄り掛かっていた窓辺から離れて姿勢を正し、爽やかな微笑で青嶌と対面する。
俺は腕組みして窓に背中を凭れさせた状態から微動だにせず、田辺先輩と微笑み合う青嶌の顔をじっと見据えた。
「蔵馬と何話してたんですか?」
「うん?中学時代の仲間の話」
「仲間って、並木中の剣道部のですか?」
「まあ、そうだな」
田辺先輩は部活中以外は人当たりが良いから、青嶌とにこやかに会話してる。
でも俺からすりゃ「お前に関係ねぇだろ」っていう。
「それってもしかして小木原君の話とか?」
にこやかな青嶌が次に出した質問が、簡単に言い当てられた田辺先輩と俺を驚かせた。
しかし青嶌はそれを気にする素振りを見せずに話を続ける。
「さっき下で見掛けましたよ。かなり目立ってましたけど、小木原君あの脚どうしたんですか?」
何だ、そういう流れで分かったのかよ。
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