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俺に顔を向けた青嶌は一瞬だけ微笑が固まったが、直ぐに表情筋を解す。
「いや、そんなつもりで言ったんじゃないよ。ただ妹さんが二人いるとか兄弟構成は知らなかったから誤解しちゃって」
いや妹は片方だけだけど、と付け加えようとしたら。
「妹は怪我人の小木原の付き添いみたいな感じだよ。良い兄貴には良い妹が付き物だな」
田辺先輩が細かい事は否定せずに、遼先輩もさおり達も持ち上げるような説明をした。
こういう毎度のさりげない気遣いには俺も頭が下がる。
「僕は小木原君がどんな性格かは余り知らないんですけど、端から見ててそんな感じはしましたね」
「だろ?」
爽やかに微笑し合う青嶌と田辺先輩だが、青嶌の背後に立つ仲間4人は無言でかき氷を食いながら俺を見ている。
その視線を感じ取った俺は睨みを効かせた眼を向けると、奴らは俺から視線を外した。
青嶌以外のこいつらは剣道部員ではなく、青嶌と同じクラスの友人で、空手部員二人と野球部員と柔道部員。
その体格が良い4人に囲まれて常に中心に居るのは、見た目が不釣り合いな優男の青嶌だ。
スーパースターとそのSPかっていう。
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