SHUHEI 参

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俺も田辺先輩も青嶌も部員の中じゃ華奢な方で、稽古やトレーニングでそれぞれ肉体は鍛え上げていても、せいぜい俗に言う細マッチョってやつだ。 しかも俺と田辺先輩と青嶌は身長まで175㎝で同じ。 だけど青嶌より俺の方が強いし、田辺先輩の後釜に相応しいのも俺だ。 「じゃあ僕らはそこに行くので、これで」 青嶌は爽やかに笑って田辺先輩に別れを切り出し、その直後の去り際に。 「中学からの仲だからって蔵馬ばっかり可愛がらないで下さいね。僕だって田辺主将が好きなんですから」 田辺先輩の左耳に顔を近付けながら妙な声色で言った。 そして4人の仲間達を引き連れ、隣の隣の2年D組の教室で催してるお化け屋敷に移動して行った。 何だ、今の。 「きもっ。ホモ宣言かよ」 「はは……違うだろ」 青嶌の後ろ姿を眺めながら思いっ切り顔を引き攣らせると、田辺先輩は苦笑を浮かべて青嶌ホモ疑惑を否定した。 否定しないと気色悪くてやってられないんだろう。 田辺先輩はフェミニストで普通にノンケだ。 剣道があるから彼女を作る暇と余裕が無い、真面目一直線な男。
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