SHUHEI 参

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「あのプライドを正しく使えばいいだけなのにな。自覚してる癖に、ほんと損な性格だよ」 常に遼先輩の次の位置にいた田辺先輩だからこそ、そういう風に遼先輩を導けるんだろう。 一度も勝てずに剣道を辞めてしまった仲間だから、また戦いたくて仕方ないんだ。 俺が遼先輩を呼び戻したい理由とはちょっと違う。 「……ちょっと変な事訊きますけど、遼先輩が戻って来んの怖くないんすか?」 「まあ……あいつが剣道から離れてる間に追い抜いて引き離したつもりでも、あっさり負けるかもしれないからな。ついさっき痛感したばっかりだし」 田辺先輩が見せる苦笑いは、悔しいけど嬉しいといった様子だ。 不意打ちの攻撃を松葉杖で簡単に阻止された悔しさと、腕前は今でも健在だと判った嬉しさ。 嬉しさしか感じない俺は猛烈にゾクゾクしてる。 流石、遼先輩だ。 「でも俺のプライドをズタズタにするのが小木原ならいいんだ。初めてプライド傷付けられたのも、小学生の時に小木原と対戦してボロ負けした時だったから」 でも田辺先輩の遼先輩への想いも解るし、羨ましい。 これぞライバル。
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