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「蔵馬は?やっぱりワクワク感しかない?」
「俺は血湧き肉踊るって感じっすね」
「小木原信者は伊達じゃないなー」
田辺先輩が笑うように、俺は剣道を始める決意を固めた直前からの“小木原 遼の信者”だ。
遼先輩に勝ちたいっていう気持ちより、遼先輩には憧れの存在でいて欲しいっていう気持ちの方が遥かに大きい。
だから遼先輩を剣道の世界に戻したいんだ。
「あ、でも何で受験終わったら戻って来るって思うんすか?」
「時期的にも丁度いいから。小木原は国公立大志望だしさ」
「ああ、それは翔情報で知ってましたけど。まさか大学まで私立避けるとはなー」
「翔くんは京大に行きたいらしいし、兄貴のプライドでせめて国公立には入りたいんだろ」
「いや、単に家計の為じゃないっすか?」
「ははは。勿論それもあるだろうけど、あいつのプライドの高さを見縊っちゃいけないな」
田辺先輩は爽やかに笑って、キョトンとする俺にこう続ける。
「翔くんは勉強オタクだし頭脳も学歴も敵わないけど、せめてさおりちゃんの上にはいたいんだよ」
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