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長男の恭平がいなくなった今、責任を持って家族を守らなきゃいけないのは次男の俺。
恭平が死んでから、家族が俺の立場を繰り上げさせたのも感じる。
頼られるのは嬉しいけど、『恭平がいなくなったから俺に頼るのかよ』という捻くれた思考も捨て切れない。
俺をそうさせるのは、やっぱり恭平への劣等感。
「ま、小木原の兄弟達に尊敬されてる部分も見本にして実行する事から始めてみれば?せっかく仲直りしたんだし」
田辺先輩はそう言って俺の左肩にポンッと右手を置いた。
遼先輩の兄貴な部分を模倣してみる、か。
ん?
「いや尊敬するどころか、さおりも翔も遼先輩を弄って笑い者にしてるじゃないっすか」
「え?あの二人が小木原を?そんな場面見た事無いけど」
「は?マジっすか?じゃあ田辺先輩の前で猫被ってんだな。あいつら揃って遼先輩と俺を舐めて掛かるんすから」
田辺先輩の前だと良い子を演じるなんて、素性を見せるにも人を選んでやがるのか。
本当に舐めた奴らだ。
「成る程な。何か妬けるなぁ」
田辺先輩は「妬ける」と言いつつ爽やかに笑っている。
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