SAORI 2

4/21
3079人が本棚に入れています
本棚に追加
/751ページ
「てめー何怯えてくれちゃってんだよ!? 人を幽霊扱いかコラ!」 柊平くんはガッと私の両手首を両手で掴んで怒鳴り付ける。 この人を睨む顔、少しだけ露になる左上の八重歯も柊平くん独特の特徴だ。 「ちょっと!痛い!」 私は彼に掴まれた両手を強く振り解き、肩から通学鞄を降ろして盾代わりに両手で持ちながら後退りした。 そんな私の反応に柊平くんは呆気に取られた後、込み上げる怒りを眼に表して睨みを効かせる。 「てめぇ今度は痴漢扱いかよ!?」 「変質者みたいな事するからでしょ!?」 「お前が幽霊扱いするからだろーが!」 「じゃあどうして家の近くに居るの!? 柊平くんの家はあっちでしょ!?」 鬼の形相で私ににじり寄る柊平くんと、通学鞄を盾にしながら柊平くんと距離を取る私。 すると彼は私ににじり寄る足をぴたりと止め、私から視線を外して少しだけ俯いた。 そして右手で後頭部を掻きながら言い難そうに彼が言った台詞は。 「遼先輩に話あんだよ」 兄に用があるというものだった。 兄が剣道を辞めてから2年以上も会ってないのに、兄に用事。
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!