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剣道を辞めた兄を見損なって縁を切った柊平くんが、2年越しに兄へ会いに来た。
2年も音沙汰無しで、今更このタイミングで。
考えられる理由はただ一つ。
「お兄ちゃんのこと殴りに来たの?」
私は通学鞄を両腕で胸元に抱き抱えながら柊平くんを見据えた。
すると柊平くんは顔を上げ、丸くした目で私を見つめ返す。
「……は?」
「お兄ちゃんと一緒に下校してるって桜さんから聞いたんでしょ?それで腹立てて殴りに来たんでしょ?」
柊平くんが今更兄に会いに来るなんて、それしか理由が無い。
兄が桜さんに付き添われて一緒に下校している今だから来たんだ。
「でも柊平くんが怒るのはおかしいじゃない。お兄ちゃんは桜さんを助けて怪我して、それで桜さんが責任感じて付き添ってくれてるの。感謝はされても殴られる謂れは無いでしょ?」
兄の正当性を真剣に訴え掛けて庇い立てた。
体育館倉庫で跳び箱が桜さんの上に落ちそうだった所、兄が間一髪で救って桜さんは無傷。
一方、跳び箱が左足の上に落下して足首骨折の重傷を負った兄は手術入院までした。
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