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「分かった。じゃあ取り敢えず家の前まで来てくれる?」
私は柊平くんを誘導する言葉を掛けて踵を返し、4軒先にある自宅へ向かって歩き始めた。
柊平くんの足音が背後から着いて来るのを感じて、何となく気持ちが踊る。
二人には仲直りして欲しいと思っていたから、柊平くんがわざわざ兄に謝りに来てくれた事が嬉しいのかもしれない。
「おい、さおり」
「なぁに」
「翔に聞いたけど、お前バレエ辞めたんだって?面倒臭くなって」
「うん」
「どうしようもねぇ兄妹だな」
「うるさい」
決して私の隣に並んで来ずに背後を歩く柊平くんは、声変わりで昔より声が低くなっていた。
柊平くんが兄と疎遠になったのは2年前だけど、私が柊平くんに会ったのは彼が中学校を卒業してからの1年振り。
弟同士が小学校からの友達という事もあって、弟情報で大まかな近況は把握していたので余り距離は感じない。
「おい、さおり」
「なぁに」
「お前バレエ辞めてちょっと太っただろ」
「うるさい!」
「プッ」
失礼でデリカシーが無くて女の子の扱い方がなってない所も、やっぱり彼と似てない。
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