3080人が本棚に入れています
本棚に追加
自宅前に到着すると、私は一旦後ろに振り向いて柊平くんの顔を見た。
2メートル程後ろを歩いていた彼もピタリと足を止め、私の顔をじっと見つめ返している。
外灯の僅かな光が照らしている柊平くんの顔は、何処となく強張っていて、兄に謝る事に対して少なからず緊張している様子。
二人がこれから真面目に話し合って仲直りするなんて、無関係な私でさえ妙に緊張してくる。
「じゃあ呼んで来るね」
「頼むわ」
スラックスのポケットに両手を突っ込んだままの柊平くんは、顔を下へ向けて足元に転がっている小石を右足のスニーカーの裏で転がし始めた。
相当緊張してる。
「柊平くん」
「あ?」
「お兄ちゃんと仲直りしたら、また家に遊びに来る?」
「あ?まあ……遼先輩が許してくれたらの話だけどな」
柊平くんは小石を転がす右足を止めず、私の顔を見ずに足元だけを見ながら無愛想に答える。
「何があったかは知らないけど、お兄ちゃんは許すと思うよ。お父さんとお母さんも喜ぶから来て」
私がそう言うと柊平くんはピタリと右足を止めて顔を上げ、私に視線を合わせた。
最初のコメントを投稿しよう!