SAORI 6

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夏休みに突入すると、部活に所属していなかった私と彼は何度かデートを重ねた。 と言ってもお互い中学生なので、お金の掛からない遊びが主流。 彼は私にキスを迫ったりなどしなくて、手も握って来ない。 ただ一緒に遊んでくれて、私を楽しませる事だけに徹してくれた。 “無償の愛”ってこういう事なのかな、と中学生ながらちょっと感動したりして。 夏休みが終わる頃には彼への感謝の気持ちで一杯で、それと同時に新たな感情が芽生えていた。 そして夏休み最終日。 今後は私の方から彼へ伝えた。 「臼井の彼女になりたい」 正直な所、この時点ではこれが恋愛感情だと言える自信は無くて“好き”とは言えなかった。 ただ、彼女という立場になりたいという気持ちが強かったのだ。 彼と過ごす時間はとても居心地が好くて安心する。 だから彼の優しさを利用している現状を脱出して、私も彼を安心させてあげたいという気持ちが大きかった。 恩返しのつもりではなく、単純に彼の希望と私の希望が合致しているから。 友達関係以上のお付き合いがしたい、と。
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