SAORI 6

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「えっ……マジで!? ほんとに彼女になってくれんの!?」 彼は瞳を最大限に開いて驚愕し、その素直過ぎる反応が可愛くてもっと愛おしくなった。 冷めた人間である私には彼の様な熱い人が一番合うんだろう。 冷めた人間同士の方が疲れないんじゃないかと思った時もあったけれど、冷めた人間の兄や弟との会話は平淡で全く刺激が無くて面白くない。 お喋りな人と話している方が楽しいから、恭平くんや柊平くんや彼と一緒に居て自然と笑顔が多くなれたのだ。 夏休みが終わって2学期が始まり、私と彼は「一真」「さおり」と下の名前で呼び合う様になった。 手を繋いで歩く事も増えた。 初めて訪れた彼の部屋でファーストキスを経験して以降は、小鳥みたいなキスを気軽に交わす。 初々しい中学生らしい男女交際で、それが心地好くて幸せで。 恭平くんを想って泣く事もいつからか無くなり、虚無感は90%以上消えていた。 でも恭平くんを忘れた訳ではないし、悲しさが消えた訳でもない。 「あ」 「……あ」 校内でばったり柊平くんと遭遇した時なんかは特に、ちょっとだけ暗い気持ちが蘇る。
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