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「お父さんもお母さんも柊平くんが来なくなって寂しがってたし、お兄ちゃんだって何だかんだで柊平くんには気を許してたんだよ」
うちは兄も弟も大人しい優等生タイプだから、煩い位の柊平くんは我が家に新鮮な空気を吹き込んだ。
柊平くんが兄に懐いて慕って家に一人で良く来る様になった頃から兄と絶縁するまでの約5年間、嵐みたいな柊平くんの存在が刺激だった。
母は楽しそうに柊平くんの御飯を作って、寡黙な父も楽しそうに笑ってて。
無愛想で無表情で無口な兄も、煩くて生意気な柊平くんに対しては怒ったり呆れたり世話を焼いたりしていた。
「お兄ちゃんには新しく弟みたいな親友が出来て楽しそうにしてるけど、柊平くんの穴は柊平くんしか埋めれないんだからね」
慎吾くんはあの人みたいに明るくて優しくて、兄に良い影響を与えられる人。
柊平くんは生意気で凶暴で我が儘だけど、兄は“出来の悪い弟”として可愛く思っていたはず。
出来の良い兄と弟の間に挟まれている私も、柊平くんの存在は良い刺激になっていたと改めて思う。
「だからちゃんと仲直りして、また何回も来て?」
あの人の分まで。
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