SAORI 2

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「お兄ちゃんは良くも悪くもプライド高くて頑固で素直じゃないから、柊平くんから歩み寄ってあげて?」 私の知る限り、柊平くんは自分に正直で素直。 直ぐ喜ぶし、直ぐ怒るし、直ぐ哀しむし、直ぐ笑う。 プライドが高い所と捻くれてる所は似てるけれど、柊平くんは兄みたいに感情を抑制したり我慢したり自分に嘘を付いたりしない。 柊平くんのそういう所を私は買っていたし、羨ましくもあった。 「じゃあ呼んで来るから、そこで待ってて」 柊平くんに作為的な微笑を見せて踵を返し、兄を呼ぶ為に自宅の敷地内へ入って行こうとした。 本当はもう一つ希望があるけど、今は兄と柊平くんの仲直りが最優先。 「さおり」 自宅の敷地内まで後一歩という所で、柊平くんが背中越しに私を呼ぶ。 また身体を彼に向けて彼の顔を見ると、外灯が照らす柊平くんは真面目な面持ちで私を見つめていた。 「何?」 「明日暇か?放課後」 「どうして?」 「線香上げに来いよ。明日は朝練しかねぇから」 信じられない誘いだった。 まさか誘ってくれるなんて思わなかった。
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