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彩芽が謙司さんを振ったという事は、慎吾くんに中々交際宣言してくれない謙司さんに冷めちゃったのかな。
でもこんなに仲が良いし、一見では後腐れの無い良い関係に戻っている様子。
謙司さんは彩芽との恋よりも慎吾くんとの友情を優先したの?
両方は手に入らないものなの?
「あの……友達の妹を好きになって付き合う事って、そんなに後ろめたいですか……?」
私は怖ず怖ずとした眼差しと口調で謙司さんに切り込んだ。
ついさっき知り合ったばかりの人に突っ込んだ事を訊くのは失礼だと思うけれど、これだけは絶対に訊いておきたい。
この問題はうちの兄にも当て嵌まるのだ。
謙司さんにとっての慎吾くんは、兄にとっての慎吾くん。
謙司さんにとっての彩芽は、兄にとっての彩芽としても置き換えて考える事が出来る。
慎吾くん彩芽兄妹との付き合いに年数差はあれど、関係も立場もほぼ同じ。
「んー……。っていうか、慎吾と彩芽が特別枠だからってのもあるからかな」
ずっと苦い笑みを浮かべ続けている謙司さんからの返答は、直ぐには理解出来ない言葉だった
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