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慎吾くんと謙司さんはホットプレートや食器等をダイニングテーブルに用意する係になった。
彩芽と私はキッチンに並んで立ち、私はキャベツのカット、彩芽はボウルにお好み焼き粉と卵と水を入れて掻き混ぜる。
ついさっきまで真面目な雰囲気だったのに、渦中の人物である慎吾くんが合流した途端に場が明るくなった。
「さおり、相談あるんでしょ?この分だと遅くなっちゃいそうだけど大丈夫?」
作業中に彩芽にこそっと耳打ちされ、私はやっと此処へ来た真の目的を思い出した。
さっきの話が衝撃的で重かったもので、一真について相談するという目的をすっかり忘れていた。
「うん、全然大丈夫だから気にないで。寧ろ楽しくって気分転換になるよ」
「そお?ならいいんだけど」
私と彩芽はふふっと笑い合って和やかに作業を続けた。
「あっちもう全部セットしたけど他にやる事あるかー?」
「じゃあこっち来て肉半分に切ってくんない?」
「オッケー」
キッチン内に入って来た慎吾くんは私と彩芽の間に立ち、豚バラ肉を包丁で半分に切り始める。
兄より更に背が高いので背中を丸めて切る体勢がきつそう。
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