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私は兄の部屋に入ってドアを閉め、部屋奥に設置された兄のベッドに乗って窓際に座る。
そして遮光カーテンの右端を摘み、カーテンの右端と窓の右端に2㎝程の隙間を作った。
兄の部屋のこの窓は自宅前の道路側にあり、周囲の住宅から洩れる明かりや道路の外灯も手伝って、夜の道路の様子が良く見える。
幾ら柊平くんの声が大きめでもこの距離では会話が聞こえないけど、和解する様子は見ておきたい。
柊平くんに指摘された通り、もし兄の部屋で話していたら私は聞き耳を立てていただろう。
二人に仲直りして欲しかっただけに、やっぱり気になるから。
兄が部屋を出て3分程経った頃、窓の下に見える柊平くんが顔と身体をこちら側へ向けた。
今やっと兄が玄関の外へ出たらしい。
あの脚に松葉杖だと階段の昇降に時間が掛かるので仕方ない。
玄関前のポーチライトや道路の外灯が照らす柊平くんは、兄が居る玄関側の方向を見つめている。
細かい表情は良く確認出来ないけれど、自宅前の道路に立ったまま兄が近付いて来るのを待ってる。
兄はどんな表情をして、どんな気持ちで柊平くんが待つ場所に近付いて行ってるのかな。
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