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兄の為に泣いてくれてるのかな、と思うと私まで泣きそうになってしまった。
自分の為に泣いてくれる人なんてそうそう居るものじゃない。
一度は離れて行った人とはいえ、慕われて必要とされる兄は幸せ者だと思う。
柊平くんを可愛く思わない訳が無いし、感動しない訳が無い。
「──」
兄は泣く柊平くんと距離をギリギリまで詰め、右手を松葉杖から話して柊平くんの頭に回した。
兄が柊平くんの頭を自分の左肩に着けさせる様に、片手で抱き寄せたのだ。
兄が柊平くんを慰め、謝罪を受け入れ、許した事を表す行為。
私の2年越しの願いが叶った瞬間。
私の願いであるのと同時に、きっと柊平くんの願いでもあって、兄の願いでもあった筈。
「──」
「──」
顔を兄の左肩に埋めたまま何かを言う柊平くん、それに対して柊平くんの頭を右手で摩りながら何かを答える兄。
二人の会話はっきりとは聞こえないけれど、きっともう大丈夫。
離れた2階の窓から見下ろす二人の姿は、贔屓目無しにも素敵な関係。
特別な関係の先輩後輩であり、親友の姿。
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