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SHUHEI 零
俺が生まれた日は、桜が生まれた年の初夏だ。
2月24日に桜が生まれて、7月2日に俺が生まれた。
生まれたのは産婦人科病院だけど、生まれ育ったのは桜の家の隣の家。
俺の家と裏の家の二軒分あるデカい敷地の、番地の角に立つデカいデザイナーズハウス。
建築士の桜父と同じく建築士の桜母が共同設計した、二人の夢のマイホーム。
そこに生まれた一人娘が桜だ。
純血日本人の父親と日仏ハーフの母親の間に生まれた、日仏クォーターの美少女。
男三兄弟のやんちゃな家庭で育った俺達にとって、お隣りさん家の美少女お嬢さんはマドンナ。
俺達兄弟にとってだけじゃなくて、近所の人間にとってもマドンナだったけど。
幼稚園でも、小学校でも、中学でも一貫して皆のマドンナ。
俺は男子校に進学したけど、桜が高校でもマドンナなのは間違いない。
会社を経営する建築士の娘で、デカい家に住むお嬢さんで、ピアノが上手くて、可愛い服を着て、夏は紫外線予防と熱中症防止にお嬢様風な麦藁帽子を被って。
桜は可愛くて綺麗で可憐で、俺にとって姫。
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