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「気持ちよさそうだねー」
色んな虫が鳴く真夏の炎天下。
自宅の狭い庭にビニールプールを置いて弟と水遊びの最中、麦藁帽子を被った女の子が傍にしゃがみ込んだ。
「桜!」
「あっ、桜ちゃーん」
俺と弟の亮平に声を掛けたのは、幼馴染みの桜。
麦藁帽子の下には人形みたいに上玉な顔、真っ白い肌、茶色くて長い髪。
薄ピンク色でフリルとレースだらけの袖無しワンピに、レースが付いた白い靴下、エナメル調のツヤツヤしたピンク色の靴。
小学生頃までの桜はそういう格好ばっかしてて、しかもかなり似合ってた。
「桜もプール遊びしようぜ!」
「水着ないもん」
「パンツ一枚でいいじゃん!」
「やだあー。柊平のえっち」
屈託無く笑う桜は本当に可愛い。
デカい家に住んでて姫みたいな格好をしてても、桜は全く気取ってない。
庶民の俺達と何ら変わらない女。
ちょっと裕福で、父親が二枚目で、母親が外国人顔の美人で、親が二人共仕事で留守がちっていう所ぐらいしか違わない。
家が隣同士という事で、桜と俺達は家族も同然だった。
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