SHUHEI 零

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「おじさんと菫さん今日はいんの?」 「出張だよ」 「じゃあうちに泊まんだろ?」 「今日は叔母さんが来てくれるから大丈夫」 「えーっ」 仕事柄出張も多い桜の両親は、自分達が家を空ける時は俺の家族か親戚に桜を頼む。 親戚っていうのは桜父の妹とその家族か、桜母の姉とその家族。 どっちも息子しかいないからか、姪の桜を本当の娘みたいに可愛がってる。 うちも男三兄弟だから、父ちゃんも母ちゃんも婆ちゃんも喜んで桜を預かった。 男だらけの家庭に桜が一人加わるだけで華やかになる。 「おばさん何時に来んの?」 「もうすぐ来るよ」 徐に庭にある水道の蛇口と繋いだホースの先を持った桜は蛇口を捻り、俺と亮平に水をぶっ掛けた。 「わっ!?」 「おいっ!顔にかけんなよっ!」 「あはははは」 水責めに遭う俺達兄弟を見て、桜は悪戯に笑いながら放水し続ける。 桜はお人形みたいな顔とお嬢様みたいな格好に反して、割と活発な性格だった。 従兄弟も俺達幼馴染みも全員男だし、フリフリの服は親や親戚の趣味で着てるだけ。 でもそれが恐ろしく似合うから、桜は姫だ。
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