SHUHEI 壱

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俺は簡単に桜に泣き付くし、それを恥ずかしいとは思ってない。 ガキの頃からそれが変わらないのも、変えようとしないのも、桜が慰めてくれるからだ。 桜は母ちゃんや婆ちゃんみたいに“男が泣くな”なんて言わないし、俺が中学生になっても高校生になっても優しく受け止めて慰めてくれる。 桜が受け止めてくれるから、変わる必要が無い。 俺は桜に優しくされたいんだ。 「じゃあお風呂入って心身すっきりして来たら?もう10時だよ」 「……うん」 「よし。じゃあ入って来なさい」 俺の涙を拭い終えた桜は、両手で俺の両肩をポンと叩いて女神みたいに笑った。 桜に慰めてもらうと、不思議といつも涙がピタリと止まる。 ガキの頃からずっとそうだ。 コーヒーの匂いがするダイニングを後にしてリビングを出て、広くて長い廊下から階段を上がって2階に行く。 桜の家の2階には8帖ある俺と弟の幼馴染み用みたいな部屋があって、そこに気軽に寝泊まり出来るようになってる。 ガキの頃から俺達幼馴染みが桜の家に泊まる時はその部屋を使ってて、俺達が使う着替えもタオルもそこに常備してあるのだ。
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