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そういえば、遼先輩は俺とさおりが携帯電話のアドレスを交換した事を知らないのかもしれない。
わざわざ報告するような事でもないから逆にわざとらしくなるし、さおりもわざわざ兄貴に報告なんかしてない気がする。
「面倒臭いし薪森に変な誤解されたら嫌だしって他の女の子には教えなかったのに、さおりちゃんには教えたんだ?」
「いやいやいや、だって仏壇に線香上げさせるには連絡先知っとかないと不便だったから」
「ふーん?」
何か妙な勘繰りをしてるらしい田辺先輩は、ついさっきまで苦笑いばっかりしてた癖に、今現在は俺をガン見しながらニヤニヤしてばっかりだ。
まるで俺とさおりの仲を怪しんでるっていうか、強引に怪しみたがってるっていうか。
俺がどんなに桜を好きか知ってる癖に、こんな無意味な駆け引きなんかしてどうしたいんだ。
「ホモ扱いだけじゃ飽き足らずさおりについてもからかいたいんすか?」
「からかってるんじゃないよ。ホモ扱いだってした覚え無いけど?」
「ついさっきしたじゃないすかっ!」
「蔵馬が勝手に勘違いしただけだろ。さおりちゃんの事だって真剣に言ってるよ」
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