SHUHEI 捌

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「はっ……いやいやいや。つぅかそもそも桜を除く意味が分からん」 俺は嘲笑しながら首を左右に大きく振り、ジンジャーエールをぐびぐび喉に流し入れる。 どうやら田辺先輩は、個人戦が準優勝に終わった事が悔しくて頭がいかれちまったようだ。 「前にも言ったろ?蔵馬はさおりちゃん含めて小木原家と深く付き合えてるって。っていう事はさおりちゃんも蔵馬には素の自分を出せてるって事なんだぞ?」 頭がいかれてる割に、目を細めた優しい微笑を見せてて、口調も穏やかで優しい。 「俺が知ってるさおりちゃんはお淑やかだし、翔くんはクールだし、あの三兄弟はドライに接し合ってるよ。でも蔵馬の前じゃ正反対なんだろ?それって凄く楽しくないか?」 俺は田辺先輩に目と耳を向けながら、ジンジャーエールを口に注ぐ手を止めた。 「さおりちゃんとレスリングして、小木原をシスコンだって言い切れる蔵馬こそ自分の凄さ解ってないよ」 遼先輩がシスコンだっていうのは共通認識だと思ってた。 さおりに猫被られてる田辺先輩の方が立場が上だと俺は思ってた。 さおりに舐められてると思うからムカついてた。
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