SHUHEI 壱

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立派な造りの綺麗な洗面所に入った俺は、乱雑に服を脱いでバスルームに入った。 学校が終わって野暮用を済ませて剣道場に練習に行って、そのまま遼先輩の所へ行ったから制服のままだった。 薪森邸の広くて綺麗なバスルームは防水テレビが付いてて、バスタブもジャグジー機能付きだ。 だから自宅のショボい風呂なんかよりも、こっちの風呂に入った方がいいに決まってる。 シャワーで頭と全身を一通り洗い終えると、熱めの湯が張られたバスタブに浸かり、ジャグジーを起動させて背中と腰に刺激を与える。 剣道の練習疲れと泣き疲れにはジャグジーの刺激的な泡が効く。 両手で湯を掬って顔面に掛け、広げた両腕をバスタブの上に置いて天井を見上げた。 遼先輩の顔と声と言葉が、ずっと頭の中で何度も再生されてる。 遼先輩は多分、剣道界に戻って来る。 戻って来てくれと頼んだ時は『考えとく』って答えただけだけど、俺には解る。 戻る気が無いならはっきりと断るのが遼先輩の性格だ。 だから遼先輩には“また剣道をやりたい”気持ちがあるという事で、それが嬉しかった。
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