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田辺先輩は妙な言い掛かりどころか痛い所を突いてきた。
俺は桜からの御褒美キスさえ貰えれば、それ以降は執着するのを止めるつもりだ。
田辺先輩は桜がアメリカに行く事を知らないからそんな説教をするけど、俺は俺でちゃんと覚悟を決めてる。
「いい加減結婚しなきゃいけないような年齢になったらどうするんだ?ずっと独身貫いて孤独死するつもり?」
「……そんな先の事なんかまだ分かんないっすよ」
「万が一そうなったら家族は心配で堪らないと思うぞ。薪森だって他の男と結婚した事に負い目感じちゃうかもしれない」
顔から笑みを消して真剣に説く田辺先輩は、俺の将来を心配してるからこそ言っているのは解る。
「今はまだ10代で、薪森の近くにいて、薪森がまだ独りだからいいよ。でもずっとこのままじゃいられないんだぞ?」
今はまだ桜のアメリカ行きを明かすのは厳禁だから、この説教をどう切り抜けたらいいか頭の中で模索した。
「薪森が一番好きなままでもいいけど、二番目に好きな子がいたって全然いいんだよ。というかいた方がいい」
そのアドバイスには意表を突かれ、俺は模索を中断した。
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