SHUHEI 捌

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田辺先輩のその台詞にちょっとびっくりした。 さおりに桜っぽい所がある、とは俺もちょっと感じてたからだ。 「ふふ」って笑う所とか、基本的には言葉遣いや喋り方に女らしい品がある所とか。 しかし、だからってさおりを推薦される義理は無いし、何より大きなお世話だ。 「……それ、さおりに彼氏いるの知ってて言うんすか?」 ちょっとムッとして反抗すると、田辺先輩が呆れたように笑った。 「兄貴の彼女に好き好き言ってたお前がそんなの気にする?」 やられた。 そう言われてみれば、今までの生き方と矛盾してる事になる。 いや待て、まだ反論の余地がある甘い攻撃でしかない。 「だって桜はマジ惚れだったけど、さおりの事は別に」 「マジ惚れしたら、の話をしてるんだけど?」 おいおい何なんだよ、この人? こんなに口喧嘩が強いなんて全然知らなかったぞ。 いや別に喧嘩してる訳じゃないけど、今は爽やかな仮面を被った魔王に見えてきた。 「別にさおりちゃんじゃなくてもいいよ。でも現時点で二番目に好きなのはさおりちゃんだろ?」
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