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二番目にさおりが好きだろとか言われても、現時点で確かな事は『嫌いじゃない』位だ。
男子校だから周りに女子がいないし、女友達とかいないし、親しいと言える同世代の女は桜とさおりしかいない。
そりゃ女の中で二番目にってなると、さおりしか残らないだろ。
「周りに桜とさおりしかいないんだし、そんなの当たり前じゃないすか」
「うん、だから。今後さおりちゃんを女として好きになっても不思議じゃないって事」
片脚を組んだ腿の上で頬杖を着いた田辺先輩はニッコリ笑い、また不可解な事を言い出す。
この俺がさおりを女として好きになるなんて、不思議な事以外の何物でもないだろ。
俺はあいつを小5の時から知ってるのに、何で高2になって今更。
「あのさぁ……。あいつは遼先輩の妹なんすよ?」
「はいはい。さおりちゃんじゃなくてもいいけどさ。とにかく『桜、桜』なんて言って執着してないで、そろそろ次に行く気持ちぐらい持ってもいいんじゃないか?って事を言いたいんだよ」
ぶすっと口を尖らせて異議を申し立てるも、田辺先輩はまるで子供をあやすみたいな空気感で唱える。
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