SHUHEI 捌

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頭ではちゃんと解ってる。 あの遼先輩でさえ田辺先輩の言う“二番目に好きな女”を“一番好きな女”に変えつつあるんだから。 遼先輩はもう桜の存在を“殿堂入り”にしたのかもしれない。 さおりが「変わった」なんて言う位に様子が変わった遼先輩を羨ましく思う自分もいる。 俺だって桜を諦められるもんなら早く諦めたいからだ。 今はまだ桜が傍にいるから難しいけど、いざアメリカに行っちゃえば諦めが付くのか? いや「のか?」じゃなくて、何が何でも諦めなきゃいけない。 一生独身で人知れず孤独死するなんて虚し過ぎるし、人生長いなら自分の子供や孫だって見てみたい。 「さおりちゃん以外の女の子と仲良くなるも良し、このままさおりちゃんとの関係を深めるも良し。とにかく薪森以外の女の子の見方も改めてみない?」 田辺先輩はいつもの爽やかな微笑を復活させて俺を優しく諭し、スポーツドリンクの残量全てを口に流し込んだ。 心配してくれるのは有り難いが、自分こそ意中の女に積極的に行ってみればいいのに。 何か面倒な事情があるみたいだから、取り敢えず今言うのは止めとくけど。
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