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SHUHEI 玖
鹿児島の戦地から我が並木町に帰還した翌日の午前11時半。
「はいはい、どうぞ座って座ってー」
俺と田辺先輩と巧の3人は、おばさんに御馳走が並んだ和室に通された。
今までに何回もおばさんの美味い手料理を御馳走になってきたけど、今回は一目で“お祝い”と分かる豪勢さだ。
巧は御馳走を眺める目を輝かせて「うわ、すげー」と感激し、田辺先輩はおばさんに「相変わらず料理お上手ですね」とマダムキラーな爽やか微笑を向ける。
そこへ遼先輩と翔が揃ってリビングに入って来た。
「あ、小木原先輩ー」
「小木原、お邪魔してますー。翔くんもこんにちは」
「お久し振りです」
巧と田辺先輩が和室に入って来る遼先輩と翔と挨拶を交わし、西海剣道部インターハイお祝いパーティーの参加者が増えてきた。
「この度は団体戦優勝と田辺君の個人戦準優勝おめでとうございます」
「ありがとう」
田辺先輩を前にして良い子ぶった翔の堅苦しい祝辞に、田辺先輩は爽やかに礼を返した。
しかし遼先輩は未だ無言のままクールに独り和室のテーブルに着く。
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