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「さあさあ、好きな場所に座ってねー。うちの旦那は仕事でいないから何処でもいいわよー」
俺達に座るよう促すおばさんはキッチンと和室を行ったり来たりで忙しそうだ。
社会人にとっては平日の昼間だからおじさんが不在なのは分かってたが、さおりの姿がまだ無い。
「俺は小木原先輩の隣ー!」
「じゃあ俺は翔くんの隣に座らせてもらおうかな」
久々に遼先輩に会った巧は遼先輩の左隣に座り、田辺先輩は巧の真向かいで翔の右隣に座った。
俺は以前さおりの彼氏と鉢合わせた時と同じ席の下座に着き、遼先輩と俺と翔の座る場所は最早定位置になりつつある。
おばさんは空いてる上座に着くんだろうが、さおりは何処に座るつもりだろ。
つうか今さおりは何処に居る?
「蔵馬、何探してるんだ?」
和室やリビングやキッチンに視線を張り巡らしてると、田辺先輩に声を掛けられてハッとした。
田辺先輩は爽やかにニヤニヤしながら俺を見てて、その田辺先輩の言いたげな台詞が解った俺は慌てて目を逸らす。
「いや別に」
「ふぅん?」
俺をガン見する田辺先輩は爽やか嫌味な微笑を浮かべた。
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