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「な、ちょっと何すか。何なんすか」
何で遼先輩から凝視されてるのか分からない俺はギョッとして、翔側に上半身を少し傾けながらその真意を問う。
しかし遼先輩は俺からフイッと顔を逸らして何も言わず、自分のグラスに2Lペットボトルの緑茶を注いでグイッと飲んだ。
田辺先輩がさおりについて俺にわざとらしく話を振りやがったから、それで何か勘繰ってるのかもしれない。
「つうか言っとくけど!さおりに仏壇の線香上げさしてやる為にケー番交換したんすよ、俺ら!」
俺はテーブルに右腕を置いて遼先輩に上半身を傾け、冷たい目でネチネチ責められる前に先制攻撃を仕掛けた。
遼先輩はまんまと直ぐにまた俺の顔を見る。
「さおりの奴ずっと恭平に線香上げたかったんすよ?知ってました?それを兄貴が悲劇のヒーローぶって剣道辞めて俺と喧嘩別れしたばっかりに……」
なんて仕返しのつもりで攻撃したものの、自分で言っててハッと声を詰まらせた。
流石にこれじゃあ遼先輩一人に責任を押し付け過ぎだ。
俺を真っ直ぐ見つめながら聞いてた遼先輩の表情にも陰りが出てる。
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