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目を伏せて過去を回想しながら独り思い更ける俺に、渦中の人物である当の遼先輩が向けたのは。
「……随分さおり想いだな。お前らってそんな仲良かったっけか?」
俺の思慮や回想とは全く関係無い内容の返答、冷ややかな目だった。
こりゃ色々拗らせてて重症だ。
「あーあー、はいはい。そりゃあね、嫌でも仲良くなるっすよ」
世話が焼けるアンタについて真剣に話し合ってればな。
俺は遼先輩を納得させるのも面倒臭くなって簡単に諦め、おばさん作の春巻きに貪り付いた。
「まあまあ小木原。この自己中な蔵馬がさおりちゃんの為に動いたんだよ?そこは褒めてあげるべきじゃないか?」
春巻きが想像以上に旨くてもう一本続けて食おうと大皿に箸を伸ばした時、フォローだか馬鹿にしてるんだか微妙な田辺先輩の言葉が耳に入ってきた。
「まだ小木原の中じゃ蔵馬は中2のまま止まってるのかもしれないけど、小木原と離れてる間も色々経験して成長したんだよ」
田辺先輩は唖然とする遼先輩を穏やかに説得してる。
ていうか『中2』って中2病の事じゃないだろな?
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