SHUHEI 玖

9/30
前へ
/751ページ
次へ
「えー?俺は柊平が成長してるなんて感じないですけどねー」 しかも巧が首を傾げながら田辺先輩の説得を真っ向から否定しやがった。 巧に箸を投げ付けたくなったが、他所様の食卓でそんな行儀が悪い事は出来ないから睨み付けるだけに止めておく。 「そりゃ柳田は子供の頃からずっと一緒にいるし、遠慮無しの親友だからさ。俺から見れば蔵馬は確実に大人になって来てるよ」 爽やかに笑って巧の生意気発言を封じてくれた田辺先輩は、やっぱり俺の第三の兄貴だ。 いっそ分からず屋の遼先輩を第三に格下げして、物分かりの良い田辺先輩を第二の兄貴として慕おうか。 「いいじゃん、二人が仲良くしてくれる方が。小木原からしたって、さおりちゃんの彼氏よりは蔵馬の方が交際相手として信頼出来るんじゃないの?」 未だ少し腑に落ちなさげな様子の遼先輩を田辺先輩が穏やかに説き続けるが、その台詞の後半部分はおかしいだろ。 どさくさ紛れに何ぶっ込んでくれちゃってんだよ。 「ただいまー。途中で抜けちゃってごめんね」 「あら、何処行ってたの?皆もう揃ってるわよ」
/751ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3080人が本棚に入れています
本棚に追加