SHUHEI 玖

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リビングのドアの開閉音と共に、キッチンで料理中のおばさんと帰宅したらしきさおりの話し声が聞こえた。 俺達4人は話を中断して一斉にリビングの方へ顔を向ける。 「団体戦優勝おめでとうございますー」 俺達が集う和室に目を向けたさおりが、ペコペコお辞儀して祝福の言葉を述べながら和室に入って来た。 「それから田辺くんも個人戦準優勝おめでとうございます。もうほんと凄いです!」 「ははは。まさか俺が決勝まで行けるなんてねー。皆食中毒だったんだと思うよ」 「またまたそんな事言ってー」 翔との間に正座して割り込みながら田辺先輩と話すさおりは、モダンなデザインの大人っぽい半袖ワンピを着ている。 「素敵なワンピースだね。さおりちゃんの雰囲気に凄く合ってる」 「ふふ。それ本心ですか?」 「勿論本心だよ。そんなに綺麗にして誰と会ってたの?」 田辺先輩はさおりの気分を良くさせて真実を聞き出すという手法に出た。 俺からすれば鳥肌が立つキザさだけど、満更でもないさおりの反応を見るに女受けは良いようだ。 「実は、西海高の軽音部の部長さんと」
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